
「ミミズの話」 エイミィ・ステュワート 今西康子=訳(飛鳥新社,2010)
このところ、続けてミミズについての本を読んでいる。
先日図書館で借りてきたこの、エイミィ・ステュワート「ミミズの話 人類にとって重要な生きもの」。
著者のエイミィ・ステュワートは、植物や虫など自然界をテーマにしたノンフィクションや、実在のアメリカ人女性”Constance Kopp“の実話を下敷きにした”Kopp Sisters Series“で有名なベストセラー作家。
そして彼女自身もミミズコンポストで堆肥を作り、裏庭で野菜を育てるガーデナーだ。
ミミズの調査に熱中した晩年のダーウィン、パンゲア分裂の証明となったミミズ、自身の菜園とミミズコンポスト、ミミズとエコロジーなど、ミミズの様々な側面から書かれている。
第7章「侵略者の顔」では、今まで知らなかったミミズの顔を知ることになった。
エィミィは、リー・フレリックとシンディ・ヘールという二人の研究者に、ミミズが問題を起こしているというミネソタの森に案内してもらう。その森からはシダ類や山野草、実生の若木といった下層植生が姿を消つつあり、その原因となっているのがミミズの増加なのだという。
ミネソタ大学研究チームによると、ミミズはそのシーズン中に森の落葉を食べ尽くしてしまうほどの力を持っており、下層植生が育つために必要な落ち葉やあらゆる有機物からなる腐食層を裸にしてしまう。
下層植生全体の80〜90パーセントがなくなってしまった場所もあり、残りの10〜20パーセントを鹿たちが食べてしまうのだという。
かつてこの森に繁茂していた在来植物には、種子が複雑な発芽形式をとるものが少なくない。このふかふかの粗腐食層があって初めて、2、3年がかりで発芽する種子もある。ところが、今では林床が林床がむきだしになってしまったため、小型植物がほとんど育たない。
「ミミズの話」 エイミィ・ステュワート 今西康子=訳(飛鳥新社,2010)P.143
過去一万年の間生息していなかったこの場所に、鉢植えの土や船の底荷の土、靴底についた卵胞、近隣に運び込まれた土の中に生息していたミミズ、釣り人が落としていった釣餌など、ミミズはあらゆるところから侵入してきた。
ミミズは害虫でもあるという主張が世間の常識に反していることに抵抗はないか、というエイミィの問いかけにシンディはこう答える。
「結局のところ、私たちの闘っている相手は、世間一般の常識、なんです!ミミズは土を良くしてくれる生きもの─みなそう固く信じています。実際に森に連れていって、そこで起きていることを見せて初めて理解してもらえる。そんな状況です。」
「ミミズの話」 エイミィ・ステュワート 今西康子=訳(飛鳥新社,2010)P.146
「ミミズはたのもしい益虫にもなれば、恐ろしい害虫にもなります。ミミズはまさに生態系のエンジニア。生態系の最底辺にいる生きものです。ミミズの活動が、そこで起こる全てを左右するにもかかわらず、ミミズに全く無関心な生態学者がなんと多いことか」
「ミミズの話」 エイミィ・ステュワート 今西康子=訳(飛鳥新社,2010)P.147
ミミズのように小さな虫が絶えず土の中を動き回り、有機物を食べ、フンをして土壌を豊かにしてくれる反面、場所が変わればそれが大きな生態系を壊すことにもなってしまう。
そしてシンディが言っていた、「私たちの闘っている相手は、世間一般の常識」という言葉を考える。
どうしても自分に都合のいいことを信じたくなってしまうことが多いけれど、不都合な裏側をみる勇気と、物事を複雑なまま捉える筋力をつけたい。
Earthworms of the Great Lakes
-Cindy Hale
Exotic European earthworm invasion dynamics in northern hardwood forests of Minnesota, USA
-Cindy M. Hale, Lee E. Frelich, Peter B. Reich
Assessing the impacts of European earthworm invasions in beech-maple
hardwood and aspen-fir boreal forests of the western Great Lakes region
-Cindy M. Hale and George E. Host


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